お願い力と頼まれ力

先日、厚労省と全国介護事業者連盟の要請を受けて

石川県の被災地応援に行ってきました

応援先は1.5次避難所で

各被災地の在宅の方や運営困難な福祉施設などからの避難者で

病院や施設などの2次避難所の待機者がメインの避難所でした

 

私は全部で3日間行きました

「できる」と思って参加したわけではありませんでしたが

少なくとも何か手伝うことがあれば・・との思いで参加しました

でも想像していたよりもはるかに現地は過酷な状況で

私が行ったときは徐々に現地の指示系統や支援内容が整備しつつある時期ではありましたが

それでもまだたくさんの解決しなければならない課題がある状況でした

 

そんな中でも

各県からの初顔合わせの介護支援者が集まり(今回は長崎・岐阜・静岡・愛知の方々と一緒でした)

数人で100名以上の疾患もADLも把握しきれていない要介護者の介護をするわけで

12時間交代の日勤帯で、いかに介護スタッフや他職種とのコミュニケーションが大切か

自分なりに勉強させて頂きました

 

現地では広い体育館の中に1部屋2名分の段ボールベッドが置かれていて

レンタルされた歩行器や車いすが脇に置いてありますが

絶対数が足りないので工夫が必要でした

体育館内には各県のDMATが体調管理や搬送などの指示をしてくれ

薬剤師会が投薬管理をしてくれています

また栄養士会が食事の準備をしてくれるので

介護スタッフは排泄介助、配膳、配薬や内服確認などが援助のメインとなります

 

ご本人の名前は

衣服の前後に名前と部屋番号をシールで貼り

リストバンドもつけていますので

それを見ながら声をかけますが

どの地域の方か?疾患は?など、部屋の前に情報がある程度あっても

確認する余裕が正直ありませんでした

 

食事は基本的に全ての方が嚥下食になっており

補助食品なども加えて温められたものが提供されますが

搬送されたばかりの時は食べていても

日にちが立つと「米粒が食べたいなあ」という声や

「ご飯食べてない!」と話す方が出てきました

一応「食べましたよ」とは伝えますが

本人からすると

「あれはご飯ではない」というのも確かに理解できます

でもこれが今できる精一杯のことだから どうにもならない

改めて食事って大切だなあとも思いました

何しろ能登地方は米どころですしね・・

 

初日はわからないことはその日のリーダーに確認しながら

とにかく排泄状況と食事摂取量だけは滞りなく支援し記録することに専念しました

避難所は毎日10人以上の方の出入りがあるので

(夜勤交代の20時ごろに15人ほどが搬送されてきた日もありました・・泣)

なかなかの混乱ぶりです(そう思ったのは私だけかもですが・・・)

この方たちはどんな状況で

またどれだけの時間と支援者の力で移動してきたのだろうと考えつつも

現場では淡々と でも漏れがないよう

最低限の情報でも動けるようなシステムが工夫されていて

とても感心しました

 

それでも2日目にはスタッフから

「被災者だからといって何でも介助するのは自立支援と言えるのか?」といった声が上がり

その日いる人たちで「自立支援」について考えました

 

たった私がいた3日のうちでも

昨日は確かに自分でトイレに移乗できたのに

今日は「できないから手伝って」と言う方もいたし

施設からの情報提供書では「自力で歩行可能」とあっても

実際は歩行器でも歩行が難しい人もいました

百歩譲って次に行くところが施設ならいいけれど

介助者がいない場所への移動だったら生活できるのか・・

非常事態とは言え過介助でADLを落としていいのか?などの議論もありましたが

結論としては

まずは確実に健康状態を維持させること

こころが元気にならなければからだも動かない時期だから

本人たちが依頼しやすい態度を心がけて対応すること

そして

1日の中で少しでも笑顔を引き出すことを「自立支援の一歩」にすることを共有しました

 

私がいたころは女性の介助者が少なく

排せつ介助もなかなか同性介助が難しい状況でしたので

よく声をかけられました

避難されている方は何しろ私たちが忙しく動き回っているので

声をかけにくかったかもしれませんね・・

 

「私の〇〇地区の人たちはどこですか」と不安げな表情で徘徊する方でも

気にかけてみんなで声をかけるようにすると

にこにこと椅子で過ごすことができるようになったのは本当に嬉しかったです

この状況は変わらないけど

少なくとも笑顔が見られたことが

応援する側にとっても本当に力になりました

 

今回は被災地応援でしたが

普段施設で働いている介護職員の方の技術や考え方も学ばせて頂きました

みんさん本当にとにかく手早いし、離床の声掛けが上手(笑)!!

私が1人のおむつ交換をしている間に2~3人は進んでいる(笑)

そして環境が整わない中でも どうやったら保清ができるかをいつも考えていました

隙間時間を見つけては

1人でもドライシャンプーができないか物品の工夫をしたり・・・

介護職の方たちは

いつもその方の「生活の質」を支える視点が素晴らしいと感じます

 

本当に介護職員恐るべし!!改めて素敵でいい職業だなあと感じたし

尊敬しかないです!!

 

長くなりましたが

能登地方で体調が悪いことを、「ちきない」と言うそうです

なかなかゆっくりと話はできませんでしたが

また行く機会があったら必ず行きたいです

 

本当は早く皆さんが2次避難所へ移動できている方がいいのですけどね・・

 

昨年行った金沢市内にあるひがし茶屋街にあるお店です

近く宿泊施設の補助などがあるようですから

足を運んでみるのもいいかもしれませんね(笑)

 

 

 

 

 

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