看取り
突然ですが
みなさんは自分の最期はどこで迎えたいですか?
まだそんなことは考えたことはないよ・・
という方も多いかもしれませんね
でも
いつかは大切な人との別れの日がやってきます
残念ながら確実に・・・
不慮の事故や地震などの自然災害
病気など
「その時」は不意に訪れることもあります
私は訪問看護師やケアマネジャーとして
がん末期の方や高齢者など
終末期に携わることも多くありました
三沢市内には往診をしてくださる病院があり
特に三沢市立三沢病院は
介護保険制度が始まる以前から
往診を行ってきました(対象要件はあります)
そのため
三沢市は在宅での看取り率も一時は県内で一番だったこともあります
そのほかに
市内には往診をしてくださっている医療機関が2か所あり
いずれの先生方もお一人で対応されています
日中の外来診察の途中で往診をしたり
外来診察が終わってから往診に回ったり・・・
雨の日も雪が降った日も 患者さんの自宅を訪問し
ご本人やご家族の話に耳を傾けてくれます
痛みや苦しさはないか
ご家族が介護に疲れていないか・・
こうした医療機関があることと
医療機関と連携が強固な訪問看護ステーションが地域にあることで
この地域の在宅での看取りが可能になっています
何事もなければ知ることはないかもしれませんが
いざ 看取りを希望されたときに
初めてそうしたシステムが地域にあることを知る方も多いです
これまでたくさんの方の在宅での看取りの場面に立ち会わせて頂きました
その経験から言えることは
最期を迎える場所は 「病院」「自宅」「施設」
一概にどこがいいというものではないということです
医療的理由や家族関係や経済的な理由、地域性など
人それぞれの事情があり
さまざまな状況を考えての結果だからです
残念ながら看取りが必要な状況になった時は
ご本人やご家族が最期をどのように迎えたいと考えているのか意向を確認し
主治医とよく相談しますが
そのような方に関わる際 私がいつも大切にしているのは
「気持ちがゆれることを保障する」ということです
例えばがん末期で退院する場合
一旦は在宅での看取りを決めたとしても
ご本人やご家族は在宅へ戻ることに不安を感じます
多くの場合初めてのことですから当然です
仮に自宅で過ごすと決めた場合でも
主治医や訪問看護師など
関係機関が協力しながらご本人の苦痛を取り除く努力をしますが
そばにいるご家族も
大事な家族が痛がったり苦しそうにする姿を見ていられるか不安を抱えるため
私たちは家族のケアも欠かせません
「在宅で看取る」と言ってみたものの
見るに堪えない時は入院させてほしいという気持ちがあって当然かもしれません
ですから私たちケアマネジャーは医療機関と密に連携した上で
「今は在宅での看取りのお気持ちのようですが
状況によってはご本人の意向も踏まえながら
再入院や施設入所などを検討することも可能です」と伝えます
つまり
ご本人やご家族の気持ちは揺れるものだと想定しながら支援するのです
よくご本人やご家族から
「一度自宅で看取ると決めたら、もう変えれないのですよね?」と聞かれますが
そんなことはありません
状況に応じてその時の「ベスト」を
みんなで知恵を出し合って考えればいいのです
もしかしたら 何がベストな最期かは
本人にしかわからないかもしれません
それでも周りの人たちがチームとなって
一生懸命考える「過程」が大切ではないかと私は思いますし
家族だからこそたくさん悩むのではないでしょうか
「これでいいのだろうか」と・・・
相手を想うからこそ 最期の場所を
「自宅」「病院」「施設」のどこにするのがいいのか
こころは揺れ動くのだと思います
でも
どうぞ思う存分 揺れ動いてください
大丈夫です
主治医や訪問看護師
私たちケアマネジャーやサービス事業所スタッフが
ちゃんとチームとなってご本人やご家族を支えます
それでもこれまでの方々をみていると
気持ちが揺れながらも
徐々に徐々にその振れ幅が小さくなって
やがて軸が定まってきます
「自分たちはこうしたいです」と・・・
選択に正解はないのかもしれませんが
たくさん悩んだ末の答えに
私たちも応えたいです
でも もし可能なら「今」
夫婦で
親子で
お互いに 自分に看取りが必要になったらどうしたいのか
現時点の気持ちでいいので周囲に伝えておいてください
残される人が苦悩しないように・・
そしてどうか 看取りが必要になったその時は
私たちがみなさんの地域にいることを思い出してください
その時はどんなことに悩んでいるのか
まずは率直に相談してみてください
医療機関と情報交換をしながら
何ができるのか一生懸命みんなで考えることができます
その時は 微力ながら
お役に立てるはずです・・・
もうそろそろ
夏も終わりですね・・・